「メタバースって結局、何に使われているの?」という疑問に答えるため、ビジネス・イベント・観光の分野で見られる代表的な活用パターンを整理しました。大阪ミナミを再現するNEOVERSEがどの位置づけにあたるかもあわせて紹介します。
企業のメタバース活用としては、遠隔地のスタッフ・取引先とのオンライン会議や研修、商品の3D展示による接客体験、ブランドの世界観を伝える体験型のショールームなどが代表的です。実店舗をなくしてメタバースに置き換えるのではなく、実店舗と組み合わせて「もう一つの接点」として使うケースが一般的です。
特に、遠方の顧客・取引先に対しては、写真や動画だけでは伝わりにくい「空間の広がり」「動線」といった情報を、実際に歩いて確認してもらえる点が評価されています。展示会や店舗のレイアウト検討など、事前のイメージ共有にも活用されています。
音楽ライブや展示会、記者発表など、多くの人が同時に参加するイベントとの相性の良さもメタバースの特徴です。会場に足を運べない遠方の参加者でも、アバターとして同じ空間に入り、他の参加者と同じ体験を共有できます。一度作った会場は、期間中であれば繰り返し利用できるという利点もあります。
物理的な会場と違って収容人数の制約が緩やかなことも多く、天候や交通機関の影響を受けずに開催できる点も、イベント主催者にとってのメリットとして挙げられます。一方で、実際の会場で得られる「その場の空気感」とは異なる体験になる点は、企画段階で押さえておきたいポイントです。
実在する観光地・繁華街を3Dで再現し、現地を訪れる前に街の雰囲気を体験してもらう活用も広がっています。特に「行ってみたいけど遠方で難しい」「まずは雰囲気を知りたい」という層に対して、実際の来訪・来店につなげる入り口として機能させる考え方です。地域の店舗にとっては、実店舗への送客チャネルの一つとしての価値があります。
海外からの旅行者にとっても、渡航前に街の様子や店舗の雰囲気を知れることは、実際の来訪先を決める材料になります。言語の壁がある場合でも、視覚的に街を歩いて確認できるメタバースは、文章による説明よりも直感的に伝わりやすいという側面があります。
企業研修や学校教育の分野でも、メタバースを使った活用が見られます。危険を伴う作業のシミュレーション、遠隔地の受講者を一つの空間に集めた集合研修、実際の現場を再現した見学体験などです。移動の負担を減らしながら、テキストや動画だけでは伝わりにくい「空間の感覚」を共有できることが利点とされています。
NEOVERSEは、大阪・ミナミ(道頓堀・心斎橋)の実在する街並みを3Dで再現し、観光・地域活性化の文脈に近い形で展開しているメタバースです。個人ユーザーが無料でアバターとして街を歩けるだけでなく、事業者が区画を借りて実際に店舗を構え、現実のお店への送客に使うこともできます。詳しくは出店・テナントについてのコラムで解説しています。
メタバース活用を検討する際は、「とりあえず作る」のではなく、誰に・何を体験してもらい、その先にどんな行動(来店・購入・問い合わせなど)につなげたいかを先に考えておくことが大切です。作ること自体が目的化してしまうと、公開後にあまり使われないまま終わってしまうケースも少なくありません。
もう一つ大切なのは、いきなり大規模な空間を作らず、小さく始めて反応を見ながら広げていくことです。実際に来訪者の反応を見て、案内の分かりやすさや導線を調整しながら育てていく方が、最初から完成形を目指すよりも結果的にうまくいきやすい傾向があります。